さちこウィークリー

漫画と舞台が好き。観た作品の感想や観劇についてのあれそれを気ままに綴ります。

アニメ「どろろ」のボーイ・ミーツ・ガール

今日1/7の夜22時からTOKYO MXでアニメ「どろろ」が放送されます。

dororo-anime.com

手塚治虫さんの漫画が原作で、これまでにもアニメや実写映画になってきたけれど、今回は再アニメ化、そして3月には舞台も上演される今いちばんホットな作品といっても過言ではないでしょう。

昨年12月にはアニメ1話2話の先行上映会があり、アマゾンプライムでは1/7の0時から1話が配信されているんですが、それがとっても良かった!特にED!EDよかった!あれだけでも見る価値あり!

私はアニメ化、舞台化が決まってはじめて「どろろ」を読んだのですが、もともとの原作ファンの方も、知らない方も、楽しめるアニメじゃないかなと思います。

そもそもアニメーションとしてクオリティが高いし、EDがいいし、漫画を尊重しながら、でもちゃんと全部ぶっ壊して、漫画とアニメの表現の違いを生かして、アニメーションたる必然性を持たせて、新しい一つの作品としてのコンセプトをめちゃくちゃしっかり作り込んでると思いました。

 

TVアニメ『#どろろ

先行上映会ではまだ秘密だったOP・EDの仕上がり、拝見してしまいました。これは……✧(°×°)

間違いなく、必見です。

1月7日より、TOKYO MXで毎週月曜日 22時から放映開始。

「叶うなら、遠くまで。」。。。 pic.twitter.com/SggDO5VHa1

浅田弘幸 (@asadercover) January 2, 2019

 

ここからは原作のネタバレもアニメのネタバレもあるのでご注意を!

 

「人ならざるモノ」の物語

今回のアニメは、百鬼丸、つまり「人ならざるモノ」が「人」としての自分を手に入れ世界と出会う物語。

「人」としての自分を「取り戻す」のではなく、あくまで「百鬼丸にとって肉体を手に入れるのは初めての経験である」という点がおもしろい。

漫画の百鬼丸は、表現上の都合により声は出せないけどテレパシーで人と会話ができるという設定。対して今回の百鬼丸は言葉も話せません。

アニメなのに!しゃべれない!こんなことある!?っていう衝撃がね、すごかったです上映会のときは(だって主演の鈴木拡樹さんと鈴木梨央ちゃんのトークショーつきのイベントだったのに本編で鈴木拡樹さんしゃべらないんだよ!?)

でもアニメだからこそこの設定が、演出として生きてくる。

 

「素人である」というリアリティ

今回アニメでも舞台でも百鬼丸を演じる鈴木拡樹さんは、あまり声のお仕事をされてきていないので、失礼ながら大丈夫だろうか…と思っていたし、いまも思ってます。

個人的に彼は「声だけ」はかなり苦手なタイプの役者さんじゃないかなと勝手に感じていて、実際に上映会で一部聞いてみて、正直声が少し浮いてるかなという印象でした。言ってしまえば声優としては素人さんに近いので。

でも、下手でいいっていうわけではないんだけど、逆に今回の百鬼丸に関しては、流暢におしゃべりできたらおかしいんだよね。だって生まれてからずっと声を失っていたわけなので。

設定としてそれを組み込んでしまっているので、声の演技に多少の違和感があっても、むしろ「人間の肉体に慣れていない百鬼丸らしさ」としてうまく演出できてしまう…というのがズルくて上手い。

ご本人も百鬼丸について「自分が声優として成長していくこととダブる」とお話されてましたが、話が進むにつれての声の変化が楽しみだなと思ってます。

こういう、アニメーションだからこその演出が効いてるシーンは他にもあって、百鬼丸のビジュアルであり、動作であり、音であり…ほんの少しの動きで「百鬼丸は何者か」の変化を表現していくことになるのだろうと思う。

1話2話を見た限りでは、毎回ラストシーンがクライマックスになるのかな?と予想。いや当たり前なんだけど、最後の5秒くらいが結構、うひゃ〜!にくい〜!ときめく〜!きゃ〜!というシーンなので、次のエピソードではどうなるかな?って楽しみになっちゃう。

 

どろろ」という、世界のすべて

漫画では、手塚治虫本人が「なぜタイトルが百鬼丸ではないのかとよく聞かれる」と明かしている通り、タイトルが「どろろ」である必要性を、個人的には感じないです。

アニメは多分、百鬼丸どろろとの旅を通じて世界と出会い自分を見つける、百鬼丸ミーツどろろな話だろうから、間違いなく「どろろ」と呼ぶべき物語になるんだろうな。そして、百鬼丸の名前に「鬼」が付いていることの、深みも増している気がする。アニメのキャッチコピーである「叶うなら、遠くまで。」という言葉が…重い。どんな展開になるのかドキドキする。

これはちょっと余談だけども、アニメや映画をコミカライズするときに「巨匠」が手がけてくれることってほぼないと言っていいじゃないですか。でも漫画のアニメ化や実写化、舞台化に関しては、巨匠の漫画を、巨匠が手がけてくれる確率がグッと上がるんですよね。

普段アニメを見ないのでどろろがどうなのかどうか相対的な評価はぜんぜんできないんですが、アニメだからこその表現、演出で、おそらく漫画では踏み込んでない部分の百鬼丸アイデンティティを軸にしていくんだろうと思う。アニメ「どろろ」という独立した一つの作品としての気概を感じたし、後半の展開がすごく楽しみ。

もちろん、漫画ではあった面白さがアニメではまるまる削除されてる部分もあるのだけど、アニメはアニメでできることが最大限詰め込まれていると思うので、アニメとして楽しんでいきたい。

 

百鬼丸は「生きたい」のか

この小見出しの意味はぜひEDを見てもらったらわかる!ので見てほしい!ほんとにEDよかった!上映会で見たときはEDの映像がついてなかったから、曲だけ聴いて結構切なげになるかと思ったけど、アニメーションつくとあったかい感じ!でも後半はストーリーの展開的に苦しくなるのかな…。

レトロな雰囲気で、お花を演出に使ったり、鉛筆の線で丁寧に、百鬼丸どろろの表情を見せていて、すごい好みだった。何より絵に力がある。絵を見せる、絵で魅せるってアニメでは当たり前のことなんだけれども、でもシンプルにそれができる方って滅多にいないもんね。アニメ「どろろ」のテーマがEDに凝縮されてると思います。めちゃくちゃお気に入りです。

みなさんもぜひ見てみてください。