さちこウィークリー

漫画と舞台が好き。観た作品の感想や観劇についてのあれそれを気ままに綴ります。

好きな人リストにロミジュリのベンヴォーリオを追加

前回に続いて、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」の話。

 

romeo-juliette.com 
2回観ました。

1回目は古川雄大ロミオ、葵わかなジュリエット、三浦涼介ベンヴォーリオ、平間壮一マキューシオ、渡辺大輔ティボルト。2回目は大野拓朗ロミオ、木下晴香ジュリエット、木村達成ベンヴォ―リオ、黒羽麻璃央マキューシオ、廣瀬友祐ティボルト。

1回目の感想はこちら

ミュージカル版を初見なこともあって、1回目はストーリーと演出の全体像を追いかけました。充分おもしろかったけど、やっぱり舞台はお話と演出が頭に入ってからが本番だわ…。

2回目は木村ベンヴォーリオ&黒羽マキューシオと、そもそものお目当てキャストだったこともあるし、それぞれの人物の心情に揺さぶられながら、歌もじっくり味わえて、最高に楽しかった! ロミジュリがこんなに楽しいなんて知らなったよ~! 2019年よかった舞台、暫定1位!


太陽みたいな大野&木下カップ

大野ロミオ&木下ジュリエットはすでに安定感がありました。

木下ジュリエットは脚が細くてびっくり。芯が強くて凛としてて、自分の運命は自分で切り開いていきそうなジュリエットだった。

大野ロミオは光属性すぎて、まるで童話に出てくる白馬の王子様。モンタギューはドラゴンを背負う一家だけど、白いライオンって感じ。オタク的イメージでいうと宮野守さんみたいな。歌声も表情と一緒で柔らかくて。

古川ロミオはぽやっとした印象が強くて、大野ロミオは賢そうだった。一つひとつの自分の感情を、けっこうその場で整理して受け止めているような。心優しい少年感は大野ロミオのほうが強いけど、不器用な子供感は古川ロミオ。

比べてみると、古川ロミオはエリザベートのルドルフ色が強いというか、闇属性なんだな~と。美しく生まれすぎて、自分の運命を呪う役が似合いすぎる。

不思議なことに、大野ロミオ&木下ジュリエットでは、古川ロミオ&葵ジュリエットで感じた、死に導かれる悲壮感がなかった。ロミオの思い描く平和、ジュリエットが求める愛が、全然、夢物語じゃない。役者さんが変わるだけでこれだけ違うからおもしろい。そして、その受け止め方も観客それぞれ違うのが興味深い。

 

キャピュレットが愛おしくなった

廣瀬ティボルトは、貴公子って言葉がぴったりの、体型は逆三角形の、童話から出てきたプリンスって感じだった…。俺だってジュリエット好きだし…俺だって好きで闘うわけじゃないし…という泣き言も、あれだけ情感たっぷりに歌われると、き、気持ちわかるよ…とほだされてしまう。

キャピュレットのパパも、いや、やっぱり、受け入れがたいけど、歌がな~歌がいいとね、頭では納得できない、信条に反することを言われても、心に響いてしまうものなんだよね。歌はいいね。

キャピュレット夫人が、娘相手に女同士の戦いを挑んでしまうというか、自分の愛人ティボルトの矢印が娘ジュリエットに向いてることを知って、娘をわざと傷つけてしまったりするところ。いるんだよなそういう女…。「男が闘うから憎しみが生まれる、悲しむのはいつも女」と言いつつ、自分も憎しみに支配されている。あなたの味方にはなれないけど、気持ちわかるよ…。

 

木村ベン&黒羽マキュがやばいよ…

ベンヴォーリオの木村達成くん、マキューシオの黒羽麻璃央くん、が、やばかったよ…!!!! 思わず太字になる。

まず二人とも歌がうまくてびっくりしました。もともと歌えるのは知っていたけど、きちんとレッスン受けて、自己流じゃない、シンプルでストレートな歌い方がしっかりできてるなって思いました。同時に、2.5ミュージカルの役者さんたちが、いかに自力だけで歌わされてるかがわかる…。

私はこれまで何回か観たことある、という程度だけど、それでも我が物顔で「あのイケメン、素敵でしょ!いいでしょ!」って言いふらしたくなった(笑)。もっと前からずっと応援されてきたファンの方々、そりゃあもう嬉しいだろうなあ。

二人とも、衣裳とヘアメイクも似合ってて、背高くてアクションできて歌って踊れてちょっとスカした&自暴自棄になりがちな良家出身の男の子っていうのが、最高に可愛かった。舞台セットの高いところから飛び降りる動作が何回かあって、着地したときに足ビーンてならないのかなって心配だけど、その動きかっこいい~かっこいいよ二人とも。

 

危うさと色っぽさの黒羽マキューシオ

先にマキューシオの麻璃央くんの話。もともと歌声に色っぽさがあって、表情を歌に乗せるのがうまい人だなという印象だったので、これからどんどん表現力が磨かれていくんだろうなって期待でいっぱい。

歌声だけじゃなくて普段の声も、表情豊かで好きなんだよね。澄んでるけどよくうねるっていうか…うまく説明できない(笑)。あとは曲に乗って軽く身体動かすってだけでも、なんか妙に決まるんですよ、麻璃央くん。

彼はあの…精神的に不安定な役が似合うというか。ラリってる様子がハマりすぎてた。古川さん同様の闇属性だよね。チャラいし、いたずらっ子だし、でもその陰に孤独が見え隠れして、「良いおうちに生まれた問題児」なんだろうなという。

麻璃央くんはそういう危なっかしさを、色気っていう武器にできるタイプ。このマキューシオはモテるな~。年上のお姉さんに飼われてそう。でも実際にはいきがって年下女子にしか手出さなさそうな空気もある。そして意外にしっかりしてて、ロミオに何かあるとすぐ真剣な目つきになるところがかっこいい。

きっと大野ロミオの太陽みたいなあったかさに、救われてきたんだろうな。口では言わないし、ロミオの勝手な行動を怒りもするけど、ちゃんと最期には親友にエールを贈る強さを持ってる。うう~苦しい、かっこよくて苦しいよマキューシオ…。

 

熱くて優しい、いい男すぎるぞ木村ベン

さて。ベンヴォーリオの達成くん。声量あって、ソロ曲も堂々としてて驚いた。背高くて顔が濃いめ、目が大きめの美男子なので、これからアレとかソレとか演じることになるんだろうな~って妄想が膨らむ。

しかしベンヴォーリオですよ。ベンヴォーリオです。ベンヴォーリオ…。

一人で勝手ばっかりして、ある意味で自由を貫いてるロミオのすぐそばにいて、彼の背中を押し、肩を抱き、背中をさする…いつでもその手を差し伸べて、ロミオの苦しみを一緒に背負ってあげるベンヴォーリオつらい。愛しい。幸せになってほしい。

達成くん自身のビジュアルがものすごく正統派なので(濃いけど)、ベンヴォーリオも真面目に見える。三浦ベンに比べて、まだ青い。そもそも実年齢が若いってことを、知っちゃってるから余計かもだけど。

不器用。真面目だから、ロミオみたいにふらふらもできないし、マキューシオほど感情をすぐ表に出す口達者なわけでもなく。三浦ベンは…実は街の女みんなツバつけてるけど、そういう遊びはもう卒業したよみたいな、大人の余裕も感じた。木村ベンは心がまだ大人になってなくて、ロミオの代わりに、マキューシオの代わりに、自分が傷ついちゃうような…。

ロミオの犯した罪も、ジュリエットの死も、二人の結末も、見届けなきゃいけなかった木村ベンヴォーリオの表情が、すごかったです。すっごくよかった。彼がいるなら、ヴェローナの未来は明るいって思える。ラストの一連のシーンは、木村ベンに釘づけでした。

あ~…ベンヴォーリオがすっごくよかったんだけど、説明しきれない…ベンヴォーリオです、私きょうからベンヴォーリオの女になりたい。三浦ベンも木村ベンもそれぞれめちゃくちゃよかった。ベンヴォーリオ最高。

 

まとめ:めっっっっちゃよかった!!!

ロミジュリこんなにおもしろいなんて聞いてないぞ。これまでの公演のキャストでも見たかったし、ロミオ・ベンヴォーリオ・マキューシオの組み合わせごとの無限の可能性をすべて目撃したい

このトリオに限らず、一人ひとりに独唱があって心情がクローズアップされるので、それぞれの人生ドラマを楽しめるのもいい。回数入れるなら、今日はこの人、今日はこの人の目線で物語の世界をのぞいてみる、っていうのができるんだよね。味わいが増します。

この独唱タイムは、お話の流れで必要だから入ってくるんだけど、実はセットの転換タイムだったり、キャストのお着替えタイムでもあるのが読めるので、それもまたおもしろいです。常に物語が動くし歌が多いので飽きない

改めて考えると、この人が下手!だったり、ここ飽きちゃうんだよな、みたいなパートもなく、ストーリー、キャスト、曲、歌、演出、衣装、ダンス…全部楽しいという、奇跡的な演目かも(完全に個人の好みによります)。

ロミジュリの世界で生きる大人も子供も、みんな青くて、孤独や、葛藤を抱えていて、どうしたらいいのかわからなくて、運命に翻弄されていく様子が、苦しかった。一幕ラストの乳母独唱からのエメとか、二幕のクライマックスとか、まさか泣いちゃうと思わなくて。あ~おもしろかった。

個人的にはベンヴォーリオのスピンオフがほしい!