さちこウィークリー

漫画と舞台が好き。観た作品の感想や観劇についてのあれそれを気ままに綴ります。

「ウルトラヒーローズEXPO」で見た、ヒーローショーのウソと真実

ウルトラマンとか仮面ライダーなどのジャンルがまったくわからず、ヒーローショーというものもほぼ見たことがなかった私。舞台ファンの方に「舞台とはまた少し違うヒーローショーの魅力」というものを聞かせていただいたことがあり、現場はどんな空気なんだろう?って思って、このお正月に見てきました。ウルトラヒーローズEXPO 2019です。

 

www.ultra-expo.com

 

ヒーローショーにたどりつくまで

会場は東京ドームシティ内のプリズムホール。会場内は大きく二つのエリアにわかれていました。「ウルトラマンバトルステージ」を1回観られる「闘エリア」と、展示や物販があって再入場可能な「遊エリア」。

 

チケットは、バトルステージを観るときに指定席に座れる指定席付券と、自由席~立見になる自由席付券の2種類でしたが、私が行ったときは指定席付券は完売で、当日自由席付券を買いました。

バトルステージは1日5回まわしで、私は16:15の回狙いだったけど、15:10くらいの段階で入場待ちの長蛇の列ができてました。しかも指定席の列が並んでいた。え~席あるのに?って思った。私はスタッフのお兄さんに「自由席なんですがこちらの列であってますか」と声をかけ、とても元気に「はい!大丈夫です!何名様ですか!」と聞かれ「あ、私ひとりです…」と少し恥ずかしくなりながら答えた私を恥じた。

 

さて、自由席付券を手に「闘エリア」の入口に行くと、自由席整理番号の紙とウルトラマンの顔のカードをもらえました。

 

そのあとは「オレ色に染め上げろ!ゲート」というものが出現。作中に登場する「火」「水」「土」「風」という4つのクリスタルとやらになぞらえて4つのゲートが用意されていて、スモークがたかれた怪しげな照明のなかを通っていく仕様。まわりの子供たちや大きいお兄さんたちがしきりに記念写真を撮っていました。

 

 

私はすぐに、ステージの整理番号呼び出しのためにステージ入口に待機してしまったんですが、指定席付券の方々は「闘エリア」内、かつバトルステージの客席入場前のスペースで見られる展示とか、ちょっとした出し物(「怪獣出現!」というテーマの寸劇とでもいうんでしょうか…)を先にしっかり観ていたらしい。おそらくドラマで使っていたのであろう小道具とかが置いてありました。私はそれが何かはわからないけど、好きな作品の何かを間近で見れる喜びはわかるのでうきうきした。

 

いよいよヒーローショー!

さて、整理番号順に呼び出されてバトルステージ内へ。番号が100オーバーだったので立見も覚悟していたけど、意外に自由席もけっこう空いていて、おすすめしてくれた方に「できればここで見て!」と言われていた「後方席のセンターブロック」の席を無事確保できました。

ステージは大画面つきの前方ステージと、中央まで伸びている花道、花道の先端あたりから、通路を挟んで場内両端の壁際にお立ち台。客席はフラットなので私も全景は見られなかったけど、後方から子供たちの「見えない~!!!見えないよ~!!!!」という泣き声が聞こえてきていたので、ご、ごめんよ…という気持ちでいっぱいだった…。

 

バトルステージは45分くらいありました。かなりしっかりしていた。大まかな流れは、ウルトラヒーロー(ウルトラマン?)登場→おしゃべりタイム→客席の子供たちにこたえてもらうクイズコーナー→ウルトラヒーロー同士でバトルごっこ→悪者登場→ウルトラヒーロー戦う→新しいウルトラヒーローの誕生→大団円。

たぶん定番の型ではあるんだと思うし、大人から見るとストーリーというほどのストーリーはなかったけど、子供たちからすると「楽しい・こわい・応援・嬉しい!」っていう気持ちの流れにスムーズに誘導されるから、かなり充実した45分間だったんじゃないかと思う。子供が飽きない長さ、かつ子供にもわかるシンプルさでまとめなきゃいけないのは大変そうだけど、だからこそ頭使わないで純粋にワクワクできたな~。

 

席の位置もよかった。場内中央両端にあるお立ち台が見えたり、指定席と自由席の間の通路をヒーローたちが駆けていってくれました。子供たちとハイタッチしたり、声をかけている子供に向かってポーズを取ってあげたり…。

スーツアクターさん(と、あえて言ってしまう)はそこまで大柄ではない方が多いようで(というかスーツ着まわさなきゃいけないことを考えたら、身長もある程度制限されるのかな?大変…)、でもウルトラマンになっていると、実物よりおっきくかっこよく見えた。顔がかっこいい~!で誤魔化せるものではないし、動きだけで勝負するって相当難しいだろうなと思う。

 

ヒーローショーのウソと真実

ヒーローショーをおすすめしてくれた方いわく「舞台とショーの違いは観客が声を出していいこと」とのことでした。子供には応援用のメガホンが配られたり、ショーの間に応援の練習をする時間もあったし、子供たちはみんな、一生懸命ウルトラマンを応援していた。

年齢にもよるだろうし、親御さんの教育内容にもよるだろうけど、子供たちは、「自分が応援しないとウルトラマンが負けちゃう」と、きっと本当に信じているんだろうな。そしてもう一つ印象的だったのが、かつて「ヒーローの存在を信じる子供」だったのであろう、大きいお兄さんたち。大きいお兄さん多かった。彼らにとってもまた、ヒーローショーは真実なんだろうと思う。

 

演劇というものは「虚構をいかに真実にするか」に挑戦していて、役者さんや演出家さんはよく「お客様を信じて」「客席とひとつになって」作品をつくりあげる、という表現を使います。舞台上で雨が降っていなくても、ザーッというSEが入れば雨は降っていることになるし、役者はただの一人の人間だけれど、板の上に立てば「物語を担う何者か」ということになる。

その「つくられたウソ」を信じるかどうか、虚構が真実になるかどうかの決め手は観客のほうにあって、ヒーローショーはその観客が果たすべき役割がとても大きいものなんだと思った。

 

バトルステージ中に何度も流れたテーマソング(私の好きなダイヤのAという舞台でも主題歌を歌っていた大石さんという方の楽曲だったので余計にテンションが上がった)の歌詞に「この瞬間起こった奇跡きっと嘘じゃない」というフレーズがあって。

科学的にどうのとか、大した問題じゃないよね。私は舞台を観て、漫画を読んで、映画を観て、目に触れるいろんな物語一つひとつの世界での、ちょっとした奇跡とか、自分が感じた昂揚感だとか、いつまでも信じていたいし、信じさせてくれる人たちを、これからも応援していきたいなと思いました。