舞台「ガンダム00」のパンフレットがすごいぞ
舞台「機動戦士ガンダム00」を観てきました。ガンダムはWとSEEDしか見ていない私ですが、この作品の脚本・演出の松崎史也さんが好きで、ガンダムを舞台でってどうするの?と思って、観てきました。おもしろかったです。
で。私はパンフレット大好き人間で、特に今回の宣伝美術担当のGene & Fredというデザイン会社さんの作品が大好きなんですね。2.5系の舞台でよくパンフレットなど制作されてて、舞台のパンフレットとして私が求めてるのはまさにこれ!というものばかりで。
今回もパンフレット欲しかったんだけど、グッズ販売が長蛇の列で、途中でその日分のパンフレットが売り切れになりました。悲しすぎる。つらい。悔しい。
ただサンプルでHPにあがっている表紙の画像だけでも、うわ、これはまた名作パンフレットでしかない!と思ったので、それについて書く。パンフレット持ってないのに…。
このHPのトップにあるメインビジュアルを見ていただくとわかると思うんですが、緑側が主人公たちガンダム・パイロット(本作ではマイスターと呼ぶらしい)。赤側が、敵(ガンダムは敵味方の線引きができないのがおもしろいところですが便宜上)。
ガンダム・マイスターたち4人のイメージカラーはロゴにも入ってて、なんかバランス悪いな?っていうのが舞台観るまでの印象でした。舞台観て納得したのは、赤が敵側のカラーになっていて、今作で闘うラスボス的存在が右上の赤っぽい人なので、VS赤で仕上げてるんだな、と。
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こんな感じで、2.5舞台だと特に、もともとのキャラデザでみんなカラフルなので、ステージの見た目がすごくカラフルになります。
原作が好きで舞台を観に来る、という人が圧倒的に多くて、原作の世界観が舞台=3次元でどれだけ再現されるかを、ある意味で品定めするのが2.5舞台なんですね(あくまである意味で、ですよ)。
ゆえに、2.5舞台におけるパンフレットの表紙は大まかこんな方向性です。
・キャラのビジュアルをしっかり入れる
・色、モチーフなどでその作品イメージを前面に押し出す
・作品のロゴを大きく入れて「いかにも」に仕上げる
同じ会社の方々が出かけている他作品のパンフレットは、例えばこちら。
2.5らしさを貫いている。これはこれでもちろん素敵だなと思います。
ただ、私が舞台のパンフレットに求めているものは少し違くて。いや、違うって言いきっちゃうと、違うんだけど。これもこれで好きなので、好きなんですけど…。
原作のイメージありきでなく、もう少し、違うアプローチができるとしたら、の話で。舞台って形に残らないものだから、劇場で表現された世界観、客席から五感で感じたなにかっていうのを、なんとか紙に詰め込んだものがパンフレットであってほしいと思っています。そして、あくまで舞台のパンフレットなので、原作に引っ張られすぎなくていい。パターンとしては、
【テーマの補完】
舞台で描いたor描ききれなかった人物の心情や、物語の背景を補完する
【舞台美術を楽しむ】
舞台で視覚的に見せた世界観を、紙媒体で再現する
【世界観の提示】
舞台では直接的に表現せず、イメージさせるにとどめた世界観を明示する
といったもの。これについてはまた後日書きたいです。
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さて、ガンダムのパンフレットがこちら。右側が表紙、左側は中面サンプルです。
モノクロ!!! キャラ1人だけ!! ロゴなし!! 「ガンダムっぽさ」「2.5っぽさ」の排除!!
びっくりしました、これ。なにこの、表紙に漂う穏やかな空気。ライフスタイル系のおしゃれな雑誌みたい。
これ、先に挙げたパターンのなかでは、「舞台で描いたor描ききれなかった人物心情や、物語の背景を補完する」、つまり、物語のテーマをびしっと提示するものだと私は捉えました。
原作のイメージとか、キャラクターありきでなく、そもそも「何を描いた物語なのか」から着想しないと、たどり着けないデザインだと思う。
舞台上では、本当にモビルスーツで闘っているかのようなスピード感、迫力、と同時に、「そのコックピットには、生身の人間がいる」という重さ、が、見事に表現されていました。まさにガンダムらしい。
そしてもうひとつ、私がガンダムという作品で重要だと思っているのは、ロボットもの、戦争もの、というアクションを通じて、人間たちの苦しみ、葛藤、夢、希望、絶望…生き様を丁寧に描いていること。
舞台上で描かれたのはアクションという「動」の部分。そして、パンフレットでは人の思いという「静」を表現したんだと思います。それぞれのメディアに適した表現を選んで、舞台とパンフレットどちらも楽しむことで、舞台ガンダムという作品が完成されるんです。
シナリオがかなりの詰め込み具合だったので、私はもう少し人間ドラマが深掘りされてたらいいなって思っていた。そしたらこのパンフレットですよ。
舞台上はあれだけカラフルだったのに、色のない世界で、まだ何の色にも染まっていない彼は、いったい何を見つめているのだろう? その胸には、どんな思いがあるのだろう? 彼は、どんな道を歩んできた人で、これからどこに向かおうとしているのだろう? …そう、想像を掻き立てられませんか。
彼が見つめているのは、彼と運命をともにするガンダムなのか、宇宙に浮かぶ地球なのか、それとも地球から、はるか宇宙を見上げているのか…パンフレット見てませんのでわかりませんが!!!
でも、舞台を観たあとに読んだら、ぜったい舞台がよりおもしろく感じられる、ことが、表紙からわかるパンフレットである。欲しい~!!!!
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あと、おそらくですが、客席には男性も多くて年齢層がいつもの2.5より若干高めだった印象で、男性客にも手に取ってもらいやすい路線を目指したのかな、とも思いました。
今作のサブタイトルが「破壊による再生 Re:Build」とあるように、ゼロからまた始める、ピュアなイメージを押し出したのかな、とも。ちょうど作品のカラーである緑はクリーンな色だし。
中面のキャラクター紹介で、パイロットスーツ姿と私服で逆さになっているのは、おそらくキャラクターたちがそれぞれ抱えている二面性(出自を隠してる、とか)の表現なんじゃないかな。これは封神演義のコミックス表紙で唸ったやつですね。いや~、いい。めちゃくちゃいい。
ただ、私、この表紙が成立した最大の勝因は「橋本祥平くんの顔の良さ」にあると思う。この主演の男の子ですね、めちゃくちゃ顔が綺麗なんですよ。骨格が綺麗で、ついでにおでこの生え際のラインも綺麗です。この横顔見てたら、この写真で勝負したくなるよな~と思いました。
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舞台観るのも楽しいけど、パンフレット見るのもめちゃくちゃ楽しい。取り急ぎ、「2019年イケてる舞台のパンフレット」暫定1位は舞台「機動戦士ガンダム00」に決まり!