さちこウィークリー

漫画と舞台が好き。観た作品の感想や観劇についてのあれそれを気ままに綴ります。

『劇場版シティーハンター』がラブすぎる

 

『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』観てきました!!!!

先週まで3週連続『映画刀剣乱舞』を鑑賞していたので、少しずつ長くなる『劇場版シティーハンター』の予告編にわくわくしていました。ぶっちゃけ『映画刀剣乱舞』本編より、予告編で、冴羽獠が回し蹴りをしながら流れてくる『Get Wild』のほうが心躍った。イントロが流れてくるだけで鳥肌が立つ。そして神谷明さんの声がかっこよすぎる…!!

予告編だけでもドキドキしたけど、本編もすっごく楽しかったので、感想をまとめました。完全にネタバレですのでご注意ください。

cityhunter-movie.com

 

映画のちょっと不満なところ:すべてが雑

まあもうあの、お祭り映画なのでね。とは思いつつ、それでもなあっていう細かい不満とか気になるところを先に。

 

・ストーリーが雑でテンポも悪い

上映時間あと10分長くていいから、ここで3セリフ分くらい足して感情深掘りしてほしいなあ…って何回思ったかわかりません。長年のファンへのサービスだなあ、というのはわかるもののストーリーに一切関与しないシーンも多々。


・キャラがストーリーのために動かされてる

どうにかしてストーリーをこうして、で、こういう絵を見せたいんだなあっていうのは、わかる。が、いやそんなミスしないでしょ、そんな無謀なことしないでしょ、そんな理由でこんなことやっちゃうんかい我、みたいなのたくさんありました。


・対人の戦闘シーンが少なくて、緊張感も半減

私、冴羽獠のかっこいいところって、パイソン…?ちっちゃい拳銃で的確にポイントを狙い撃つスマートさだと思うんですね。大暴れしないで「そんなピストルで?」って笑われながら倒しちゃうところが凄腕たるゆえんだと思う。ので、まあ今回もかっこいんですけど、クライマックスでメカ相手にしてるより、途中のゴールデン街でドンパチやるシーンのほうがクールだった。


・敵キャラがザコい

神谷明 vs 山寺宏一だからね、楽しみにしてたよね。敵キャラのいいところはね、声が山寺宏一であること、以上。ただこの山寺宏一が連れてる男がですね、彼は一部のオタク(♀)の性癖に相当刺さると思いますね。出てくるたびに、オタクの性癖に刺さる顔してんな~としか思えなかったです。


・海坊主がギャグ要員

武器がひと種類しか登場しないです。かっこいいっちゃかっこいいシーンもあるけど、あの図体でけっこう可愛いのね、みたいな立ち位置になっていた。あと冴子もかなり控えめです。


・違和感しかない挿入歌と三姉妹

しばしば唐突に主題歌たちが挿入歌として流れます。せめて歌なしじゃダメだったのか…。思い出補正があればかなり違うと思いますが、シーンに合ってなくていまいち没入できない。そしてキャッツ・アイの三姉妹が登場、嬉しいけどほぼ活躍しません。出すなら出すでもうちょっと動いてほしかったな。ただ、ルイ姉にやられた人はたぶん死んでる。

 

細かく言うともっといろいろあって、けしてクオリティが高いとは言えないなっていうのが正直な感想ですが、それを補って余りある楽しい映画でした。

 

映画のすごくよかったところ:ひたすらラブい

よかったところはもうあの、冴羽獠と香のラブストーリーとしていいところを挙げますね。もうね、ラブかったの…。誰か語彙力をくれ。

そもそも私、冴羽獠と香は、お互いを守る・背中合わせみたいな完全なるバディではないんだけども、冴羽獠が香のことを女性としても魅力的だと思っているし、相棒としても信頼しているってところが好き。それでも「守り守られ」より絶対的「守るべき存在」として扱ってくれるところが女性目線で最高に男前だよね。ああ好き。

漫画では出会って最初の頃は香相手にももっこりしてるのに、次第に表面的には女扱いしなくなる、という流れがいい。自然現象ではなく冴羽獠の意識と覚悟の問題だからね、かっこいいよね。

 

・ラブに集中させるための依頼人、恋敵

ストーリーとキャラ設定が荒すぎるのが難点だなって思ってたんですが、そのぶん私はラブに集中できたのでよかったかもしれないです。

通常、依頼人の美女に冴羽獠がもっこりするけれども、今回は成人済みとはいえ子供すぎたし、冴羽獠に対して「かっこいい」ってなる瞬間が0.5秒くらいしかないし、最初から最後まで冴羽獠と香の関係をおちょくる、冴羽獠にはっぱをかける。冴羽獠もさすがに大して動揺しないんだけど、ひるまずチャチャを入れてくれる。いいぞ偉いぞグッジョブだぞ!

実は香の幼馴染でしたっていう、山寺宏一の声の人も、声が山寺宏一である以外にまったく強みがない。ただね、彼ね、すごくいいのがね、よくある「主人公を出し抜くためにヒロインに言い寄るキャラ」ではないんですよ。冴羽獠ありきでなく、純粋に香に言い寄ってるの。これもまたこれで思考回路はバカだけど、ストーリーの本筋とラブ方面でごっちゃにならず、それぞれで冴羽獠を敵視しているのがよかった。君もいい仕事したぞ。

 

・信頼関係をより熱く見せる演出

これはたぶん意識してつくってないと思うけど、冴羽獠の登場シーン、ちゃんと香とふたりで仕事してるのがよかったですね。これが今回のテーマなんだろうなって思った。このふたりの関係にフォーカスしますよっていう。

 

途中、ふたりは離れてしまうのか?と思わせる演出だったのかな?って思うシーンがあって。香が他の男のところに行っちゃうかも~みたいなのは、正直いまさらすぎて冴羽獠含め誰も動揺しないわけですけど…。決戦前夜、冴羽獠が長いピストルの筒を(知識なくてごめんなさい)、糸鋸?で短く切り落としているところ、後ろから香が「私、山寺宏一のところに行くわ」と声を掛けます。
私は、声を掛けられたとき冴羽獠が手を止めると思ったんだけど、彼はそのまま糸鋸を引いて銃口を切り落とすんですよね。香を振り向きもせず。

「バラバラになる」銃でふたりの距離が「離れていくこと」を示すっていうのを、ミスリード…として入れたのかな、とも思ったけど。冴羽獠が動きすら止めなかったことで、逆にふたりの信頼感が伝わってくるシーンだなって感じました。

 

あとはクライマックス、高層ビルの窓際でヒロインに銃を突きつける犯人 vs 主人公という、これも100万回見たシチュエーションですが、香がそれで助けられちゃうだけだと、違うんですよねシティーハンターは。冴羽獠と香のあいだには信頼しかないのでな…。お約束のところでお約束を守る男・冴羽獠がさらっと放つ一言が、さらっとしすぎてるんですけど、かっこよすぎるね。

 

Get Wildまでの約束されたかっこよさ

本編は、予告編の時点でわかること以上でも以下でもない感じ。美女の依頼受ける。もっこりする。ばたばたする。ドンパチする。解決する。キザいことを言う。Get Wild流れる。というだけのことです。この型すら懐かしいし落ち着くし愛しいよね、もう。かっこいい冴羽獠からかっこいいGet Wild、いかにバトンを渡すかを観に行ってる感じすらある。

でさ、始まって20分くらいかなあ、冴羽獠の台詞でさらにオチの展開というか台詞までわかるんだけど、こう、「きっとこう言うだろう」って台詞があって、そこから絵が引きになって、そこで流れるGet  Wildをね、心の準備しながら60分くらい待ってるわけじゃん。本当に来るじゃん。それがね、いいよね。「よっ!待ってました!」っていうね。

ただ、わかってた台詞なのにね、私が予想した8割増しでかっこいい言葉で、あれは言うと思ったけど、それも言う!?みたいな。ああああああああ~~~~~~~~!!!!ってもうにやけ止まらなかったですね……。ときめきすぎて瞬間的に頭が沸いてしまって台詞ちゃんと覚えてない。もう1回聞きたい。自宅で見てたら頭抱えてごろごろごろごろしてました。あーーーーーーーーーー……かっこいい。

 

・エンドロールはスタッフからのプレゼント

ラストの台詞、めっちゃくちゃかっこよかったんだけど、そのあとのエンドロールがね、Get Wildじゃん。いやGet Wildなことはわかってるんだけど、そこでね、なんだろうあれは、アニメシリーズのエピソードを抜粋してね、流してくれたんですけど、それがもうあの、冴羽獠と香のときめきメモリアルだったので、ときめきと切なさともどかしさと、そして冴羽獠の煙草を持つ手がセクシーすぎてね、頭おかしくなるかと思いましたね。

スタッフさんたちからね、20年越しの、冴羽獠と香へのプレゼントなのかなあって思いました。このあたりは『名探偵コナン から紅の恋歌』を観たときと近しい感情かもしれない。

映画館を出たあとはGet WildではなくKinKi Kidsの『シンデレラ・クリスマス』という曲を頭の中でエンドレスリピートしました。「普段着のままの君 愛してるよ」というフレーズを香さんに贈りたい。ていうか言って!冴羽獠が自分で言って!声を大にして言って!

 

 

冴羽獠と香について、仕事のバディとして、人生のパートナーとして、っていう2軸それぞれの信頼関係と愛情を存分に見せてもらった作品でした。私は三角関係で焦るわちゃわちゃとか好きだけど、そこは大人の男・冴羽獠ですよね。

最近、何事においても純粋に強くて、心に決めた女性に対しても揺れ動かない系の男子、いないじゃん? 3次元では知らないけど、もう何年も恋愛漫画読んでないので、私の世界にはいない。ああいう断固たる覚悟っていうのは素敵ですよ。かっこいいですよ、もう。

 
あとは、シティーハンターといえばの「新宿の伝言板。現在っぽくアレンジされてて、依頼人も「まさかね…」なんて言ってるところで、あの当時と現代がつながって、わくわくしました。XYZで始まり、XYZで終わる。最後に「XYZ」と書かれたことで、それは映画の「終わり」であり、また次の事件も「始まり」も意味してる。く~~~~!!!!はやくもう1回観に行きたい!!